インターネット配信に関する著作権
▼ もくじ
【 概要 】
YouTube等でのライブ配信やアップロードに関係してくる著作権には
1) 楽曲著作権
2) 作詞著作権
の2つがある。
さらに著作隣接権として
3) 原盤権(演奏権)※正確には「レコード製作者の権利」
4) シンクロ権
がある。
JASRACやNexToneはYouTubeやツイキャス等、多くのプラットフォームと利用許諾契約を締結しているため、JASRACやNexToneに登録されている楽曲であれば 1) 楽曲著作権、2) 作詞著作権に関しては許諾を取る必要はない。
商用利用可能。
3) 原盤権はレコードやCD、DVD等の大元の権利。
CDの音源をそのままアップロードすると警告が来るのはこの原盤権を侵害するため。
4) シンクロ権は楽曲と映像を合わせる時の権利。
例えば、明るい楽曲に暴力的な映像をつけると楽曲のイメージを損なうということでシンクロ権侵害に値する。
海外の楽曲では思わぬクレームをつけられることがあるので使用する際には注意が必要。
厳密には原盤権と演奏権は別のものだが、大半の場合は原盤権と演奏権は同じところ(=レコード会社・出版社)が持っていることが多いので、ここではまとめて原盤権とする。
(演奏権とは録音の際に演奏・録音されたものに対する著作権。録音の契約の時点で演奏ごと買い取りになる場合が多い。)
※著作権の正確な名称は巻末の参考文献を参照
【 編曲許諾申請 】
演奏する際に編曲するのであれば編曲許諾申請をする必要がある。
編曲許諾はJASRACでは取り扱っていないため、著作者から管理を委託されている音楽出版者に申請する。
【 様々な例 】
以下の表はYouTubeへ動画をアップロードする際に考えられる5パターンで、どの権利を侵害するかをまとめたもの。
1 弾いてみた/ 歌ってみた
CDを伴奏に演奏した場合原盤権を侵害する。
また、弾いている映像と楽曲を合わせるのでシンクロ権も侵害する。
現状たくさんの動画が上がっているが、摘発対象である。
2 日本の楽曲を演奏
JASRACやNexToneに登録されている楽曲であれば、すべて演奏または打ち込み等を使用して再現する際にはその権利も侵害しない。
※登録されていても配信はしてはいけないという楽曲もある
3 海外の楽曲を演奏
基本的には2と同じだが、海外出版社からはシンクロ権侵害のクレームや、著作権使用料を支払わせる詐欺の連絡がくることがある。
4 海外の楽曲を演奏+静止画
著作権フリーの静止画に演奏した海外の曲を合わせる分には問題ない。
5 BGMとして使用
BGMとして使用する場合は国内外の楽曲を問わず、原盤権とシンクロ権を侵害する。
【 結論 】
著作権をクリアするのは2と4の場合だけである。
※演奏する際に編曲するのであれば編曲許諾申請をする必要がある
【 例 】
① JASRAC管理の国内外の曲を自らの演奏で配信する。
② JASRAC管理の国内外の曲をアカペラで配信する。
③ JASRAC管理の国内外の曲の歌詞の朗読を配信する。
④ JASRAC管理の国内外の曲を自分でMIDIで打ち込んだ音源を配信する。
⑤ JASRAC管理の国内外の曲を自分でMIDIで打ち込んだ音源を使いカラオケを配信する。
⑥ JASRAC管理の国内外の曲で著作隣接権者から許可をもらった音源を配信する。
① 自分で作った楽曲の演奏を配信する。
② 自分で作った楽曲をCDなどの音源にして配信する。
③ インターネット配信が許可されている音源を配信する。(それぞれの楽曲の利用規約に従う)
④ 著作権を管理委託していないインディーズから直接許可を受けて、自らの演奏を配信する。
⑤ 著作権を管理委託していないインディーズから直接許可を受けて、アカペラを配信する。
⑥ 著作権を管理委託していないインディーズから直接許可を受けて、詞の朗読を配信する。
⑦ 著作権を管理委託していないインディーズから直接許可を受けて、CDなどの音源を配信する。
① 市販のCDやDVD等の音源に合わせたダンスパフォーマンスを行う。
② カラオケメーカーが作成した映像または音声のカラオケ伴奏に合わせて歌う。
③ アーティストのプロモーションビデオを無断で流す。
④ 市販のCD音源のライブ配信、動画アップロードが主目的となっている場合。
⑤ 市販のCD音源を使用したDJ・リミックスの場合。
⑥ JASRACの管理曲ではなく、他管理団体の許諾を得ていない楽曲の配信。
【 収益化 】
YouTubeパートナープログラムへ参加し動画を収益化することができる。
(収益化の方法や条件についてはここでは割愛する。)
収益化をしていない場合、YouTubeから著作権に関する警告は来ても、実際に動画が削除されたりチャンネルやアカウント停止されたりするという例は少ない。
【 コンテンツID (Content ID) 】
著作権者が楽曲を登録することにより、ユーザーがアップロード時に自動判別(音波形認識)して著作権侵害していないかをチェックする仕組み。
自動判別のため間違いも多く、その際は異議申し立てをすることにより解除される。
【 著作権の保護期間 】
日本国内の法律では、作った方が亡くなってから70年間は著作権で保護されると規定されている。70年というのは亡くなった日から数えて70年ではなく、翌年の1月1日から数えて70年間とカウントするので注意。
※2018年12月の法改正により著作権の保護期間が50年から70年に変更された
昔から歌い継がれている曲の著作権に関しては既に消滅しているが、中には編曲家が作ったアレンジ版もあり、この場合はアレンジをおこなった編曲家に権利が発生するので、そのアレンジで演奏などをする場合は許諾を取る必要がある。
その曲がアレンジ版かどうかは「アレンジ版」などの表記があるかを確認したり、JASRACが公開している「J-WID」という楽曲データベースで調べることができる。
【 参考文献 】
■著作権の概要
■動画投稿(共有)サイトでの音楽利用
■エレクトーンイベントで必要となる楽曲の著作権手続きについて
https://jp.yamaha.com/files/yec2019_copyright_7b09ceae8bb84224dd4ec01c0606e8cb.pdf
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